【歯学部受験応援コンテンツ】歯科医の現状、歯科医師数、クリニック数、診療科目などを、現役の歯科医師に聞いてみました。
歯科医を目指す上で気になること知っておきたい事を、現役の歯科医師がお答えします。
■はじめに
コンビニよりも多いとも表現されたりしますが、歯科医師の数が単に多いのではなく過剰であるという話をお聞きになったことありませんか?
実際のところ、歯科医師の数やクリニックの数、つまり歯科医師の現状はどうなのでしょうか?
厚生労働省が、2年おきに統計をとっている「医師・歯科医師・薬剤師調査」等を利用して読み取ってみましょう。
■歯科医師の数
歯科医師の数は、厚生労働省の統計をみるとわかりやすいです。
最新の平成28年では、歯科医師数105000人弱で、前年比0.5%増です。この増加率、30年来で最低水準です。
人口10万人に対する比率では、歯科医師数82.4人とこちらも前年が81.8人だったので微増です。
歯科医師国家試験が難しくなって以降、歯科医師数は増えてはいますが、年々増加率が下がってきているのが現状です。
平均年齢は、病院に従事する歯科医師が37.9歳、診療所に従事する歯科医師が52.9歳です。前者の年齢がとても低いのは、研修医など若い歯科医師が多いためと推察されます。
どちらも平均年齢は年々上がっています。特に診療所では、39歳以下が非常に減っており、ボリューム層が40〜69歳で10歳ごとに区切ればほぼ均等、40〜49歳が減少し、60〜69歳の増加率が高くなっています。
なお10年前までは、歯科診療所に勤めている歯科医師の平均年齢は40歳代でした。
厚生労働省の統計はこちら
※厚生労働省データ参照
■歯科医師と診療科目
歯科医院が標榜できる診療科目は、厚生労働省によって「歯科」「歯科口腔外科」「小児歯科」「矯正歯科」の4つに定められています。
市中には、審美歯科や一般歯科、インプラント科などいろいろな看板を掲げているところがありますが、本当のところは前述の4つ以外は掲げてはなりません。
診療科別の歯科医師の数は、主たる診療科とそうでない診療科で統計が算出されています。
主たる診療科では、歯科が最も多く歯科医師の90%弱、平均年齢にして51歳の歯科医師が従事しています。次いで、歯科口腔外科が5%弱で平均年齢41歳、矯正歯科と小児歯科は4%弱と2%ほどで平均年齢は45歳と48歳です。残りは臨床研修医などです。
主でない診療科は複数回答ですので、割合の数値の合計が100%を超えます。
こちらも歯科が最も多く90%強になります。歯科医師なので当然ですね。次いで多いのが小児歯科で45%弱、歯科口腔外科が30%弱と続き、矯正歯科が25%弱となっています。
■歯科医院の数
歯科医院の数を調べるには、厚生労働省の医療施設調査が有用です。
歯科診療所は、平成27年で69000軒弱です。平成5年以降増加傾向にありますが、非常に緩やかな伸びで、直近の10年ほどで見ればほとんど変わっていません。前年の平成26年と比べても0.2%の伸びですから、ほどんど変化がないことがわかります。
■歯科医院はコンビニより多い?
歯科医師過剰の話の時に、必ずといってもいいほど言われるのが「歯科医院はコンビニより多い」という話です。
筆者が、子どもの頃は、コンビニなんてありませんでした。歯科医院はありましたよ。
ちょっと想像すればわかりますが、歯科医院は戦前からありました。コンビニは戦後に出来た業界ですから、コンビニの方が新しいわけです。
歯科医院の数の推移は医療施設調査、コンビニ店舗数の推移は日本フランチャイズチェーン協会の統計が参考になります。
これでみると、歯科医院数もコンビニ店舗数も年々右肩上がりですが、コンビニ店舗数が歯科医院を上回ったことなど、一度もないことがわかります。
例えば1988年ごろにコンビニ店舗数が初めて10000軒くらいになりますが、その頃の歯科医院数は50000軒ほどです。コンビニ店舗数が40000軒に達した2002年では、歯科医院数は65000軒ほど。
どちらも年々増加していますが、その差は年を追うごとに少なくなっています。つまり、コンビニという新しい業界が成長し、コンビニ店舗数が歯科医院数に近づいてきているという見方が出来ます。
歯科医院はコンビニよりも確かに多いのですが、当たり前といえば当たり前なのです。
■まとめ
歯科医師は、歯科医師国家試験の合格率の低下によって、新規参入が年々減少しているのが実情です。ただし、サラリーマンとは異なり、定年がありませんから何歳まででもできるわけですから、微増はしても減少はしません。
しかし、若手の歯科医師の減少の影響で、歯科診療所の歯科医師の平均年齢は徐々に上がってきており、現在では50代になっております。また70歳以上の歯科医師も平成26年と比べると10%弱上昇しています。この歯科医師の高齢化は、今後も上昇していくものと考えられます。
やはり、歯科医師も高齢化すれば、目は見えにくくなり、手先も思うように動かなくなります。そのため、歯科医師の数は今後も緩やかに増加していくと思われますが、歯科医師の高齢化によって歯科医師1人あたりの診察可能な患者数は、少しずつ減少していくのではないかと筆者は考えています。
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