【歯学部受験応援コンテンツ】歯科医師国家試験の合格後の進路に関して現役の歯科医師がお答えします。

歯科医師国家試験の合格後にはどういう進路があるの?ちょっとした疑問にお答えします。

歯学部進路

 

■はじめに

6年間にわたる歯学部での勉強を終え、無事歯科医師国家試験に合格して初めて歯科医師免許が交付され、歯科医師として認められます。

歯科医師となったのちは、まず卒後臨床研修を受けなければなりません。

 

 

■卒後臨床研修

筆者が歯科医師になった時代は、卒後臨床研修は必修ではありませんでした。これは医師も同じでした。

ところが、卒後経験の少ない医師がアルバイトや当直業務などを担っていることが社会問題となり、医師が医学部を卒業した後臨床研修を受けることが義務化されました。この流れを受け、歯科医師も平成18年4月から必修化されることになりました。

歯科医師臨床研修制度
※厚生労働省より

 

○アルバイトは禁止

筆者が研修を受けたころは、研修歯科医師でもアルバイトは可能でした。大学の医局に、学校や事業場の健診のアルバイトや、近隣やOBの歯科医院から病気休業中の代診のアルバイトの依頼があり、勤しんでいました。大学病院では得られない経験(とお金)が得られるので、ドキドキでしたが、とてもありがたいものでした。

ところが、現在の卒後臨床研修では、届け出た研修プログラム以外の臨床研修は認められていません。研修期間中にアルバイトを行なうことは禁止となりました。

 

○卒後臨床研修を修了したら

卒後臨床研修を無事修了したら、研修先施設の管理者から臨床研修修了証が交付されます。そして、厚生局に歯科医籍に登録してもらいます。すると臨床研修修了登録証が交付され、修了に関する全ての手続きが完了します。

 

○卒後臨床研修を修了できなかったら

何らかの事情によって卒後臨床研修を終了できなかった場合は、再び卒後臨床研修を受けなければなりません。ただし、一から受け直す必要はなく、未修了項目だけ受け直せば大丈夫です。

 

 

■卒後臨床研修を受けなかったら・・・

○歯科診療が出来ない

卒後臨床研修はあくまでも歯科診療に従事しようとしている歯科医師が対象です。基礎研究しかしないなど、臨床に携わらないのなら受ける必要はありません。

けれど、大学院で研究をしているとき、生活費を捻出するためにアルバイトで歯科診療を行なうことは稀ではありません。たとえ研究の道に進もうと思っているとしても、卒後臨床研修を終了しておいた方が、選択肢が増えるのでいいと思われます。

 

○開業できない

卒後臨床研修を終了していない歯科医師が歯科医院を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事などの許可が必要となります。そして、開設許可をもらってもその歯科医院は卒後臨床研修を終了した歯科医師に管理させなければなりません。

したがって、卒後臨床研修を終了していないと、事実上開業できないということになります。

 

 

■卒後臨床研修を終えた後は

卒後臨床研修を修了した後は、それぞれ希望する進路に進みます。進路に迷う場合は、どのような歯科医師になりたいかを考えるといいでしょう。学位を取得し、歯学博士や医学博士を目指すのか、専門を極め学会専門医や学会指導医を目指すのか、開業するためにジェネラルな歯科医師を目指すのか・・・。

どのような将来像を描くのか今一度考えてみてください。

○大学院

学会の専門医や指導医は、5年おきくらいに更新しなければなりませんが、博士号は一度取得すると一生涯有効です。

研究職に進みたい希望があれば、なおさらですが、そうでないときでも箔をつける意味で学位を取得する歯科医師はいます。

 

○専門医や指導医

学会の専門医や指導医を目指して指定された研修施設で、必要となる研修期間、臨床経験を積む歯科医師もいます。

専門医や指導医は、数年おきに更新しなければならないので、取得した後も学会には加入し続けなければなりません。

 

○開業歯科医

開業を目指す場合、矯正やインプラント、美容の専門歯科医院などの例外を除いて、多くは歯科疾患なら何でも診療する歯科医師、つまりジェネラリストであることが要求されます。

子どもから高齢者まで診察できるのは、一般の歯科医院の特徴です。一般の歯科医院に就職して、ありとあらゆる患者さんの診療経験を積むのもいいでしょう。

 

○留学

海外の大学に留学し、研究するという進路もあります。大学の教授の伝手などで留学先を探すこともあれば、自分で一から探して交渉して留学する歯科医師もいます。

 

○自衛隊

自衛隊の歯科医官を目指す道もあります。もちろん、ハードルは高いですが卒後臨床研修を自衛隊で受けることも出来ます。

歯科医官として採用されると、陸上・海上・航空自衛隊の駐屯地や基地の医務室や自衛隊病院に配置され、歯科診療や健康管理を主に勤務します。

 

○行政歯科医

厚生労働省や保健所などに勤める歯科医師もいます。この場合は、歯科臨床に従事することはまずありません。

 

 

■まとめ

無事、歯科医師国家試験に合格したら、研修者としての道を希望していても、卒後臨床研修は受けておいた方がいいでしょう。研修を終了しておいた方が、将来の選択肢が増えるからです。

研修終了後は、臨床家や研究者など、歯科医師にもいろいろな選択肢があります。どんな歯科医師になりたいか、目標となる歯科医師を目指して頑張ってください。

 

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