歯学部5年生の勉強法|臨床実習の振り返りと進級・国試準備

結論

歯学部5年生は、臨床実習で生じた疑問を、その日の短い復習と基礎知識の確認へつなげましょう。実習の到達目標、提出物、学内評価を把握し、患者情報を適切に扱いながら、経験を説明できる知識として整理することが大切です。

この記事の要点

  • 最初に実習要項で、到達目標・提出物・評価方法を確認する。
  • 振り返りは「観察したこと・指導で説明された判断の根拠・自分の疑問」に分け、疑問を一つ翌日の復習へ回す。
  • 疑問は必要な基礎科目だけへ戻って説明し、関連する国試過去問や授業問題で確認する。
  • 患者情報は大学・施設の規則に従い、学外相談は承認された教材と一般化した疑問で行う。

本記事は、歯科医師の養成を目的とする6年制の歯学課程に在籍する方(入学予定者を含む)向けの学習ガイドです。履修時期、試験、進級・卒業要件は大学と入学年度で異なるため、所属大学の最新案内を優先してください。学習手順・比較表・週間計画は本記事の提案であり、全国共通の必須手順ではありません。

5年生の学習で優先したいこと

図表1 歯学部6年間の学習の流れ(一般的な目安)
入学前
高校の生物・化学・英語の基礎を補う
1年
教養科目と基礎の学習習慣づくり
2年
解剖・生理・生化学などの基礎歯科医学
3年
病理・薬理・歯科材料など専門科目
4年
臨床実習前の共用試験(CBT・OSCE)
5年
診療参加型臨床実習と振り返り
▲この記事
6年
卒業試験と歯科医師国家試験

科目の配置、共用試験の受験時期、臨床実習の開始時期は大学と入学年度で異なります。所属大学の履修要項・シラバスで確認してください。

臨床実習の到達目標と評価を先に把握する

実習の開始時期、診療科の回り方、求められる記録や評価方法は大学で異なります。5年生の一般的な学習ガイドとして、まず所属大学の実習要項を確認してください。参加した時間だけで学びを判断せず、何を観察し、何を説明できるようになるかを目標にします。

経験した内容は観察・判断の根拠・疑問に分ける

振り返りは、見たこと、指導で説明された判断の根拠、自分に残った疑問を分けて書きます。見学した手順を長く写すだけでは、何が理解できていないか見えません。翌日の学習へつながる問いを一つ選ぶと、短い時間でも復習の焦点が定まります。

図表2 臨床実習の振り返りシート(記入例)
欄 書くこと 記入例(説明用の架空例)
観察したこと 見た手順・所見・患者さんへの説明を事実として 診療前に、指導医が画像のある部位を確認していた
判断の根拠 指導で説明された理由(自分の推測と分ける) 所見の位置と範囲を確かめてから処置方針を説明していた
自分の疑問 説明できなかった点を一つに絞る 画像のどこを見て、何と区別していたのか
翌日の復習 戻る基礎科目と、確認に使う問題 許可された教材で正常像を復習し、関連問題を一問解く

記入例は架空です。実際の患者情報(氏名・画像・診療内容など)は、このシートや私物端末に記録しないでください。

基礎と臨床をつなぎ、関連問題で確認する

実習で分からなかった内容を、解剖、生理、病理、薬理などの必要な範囲へ戻して復習します。基礎科目をすべて最初から読み直すのではなく、目の前の疑問を説明するための部分を選びましょう。理解が整ったら、関連する国試過去問や授業問題で確認します。

問題の正答が実習で見た対応と違って見えたときは、設問条件と診療の状況を分けて考えます。限られた選択肢の問いを、個々の患者への指示へ直結させないでください。指導教員に条件の違いを尋ね、学習上の説明を整理することが重要です。

実習と並行して国家試験の学習を少しずつ進めたい場合は、国家試験対策コースで、実習の予定に合わせた量から計画できます。

患者情報の扱いと技能評価への準備を確認する

患者の氏名や画像、診療内容などを私物端末や外部サービスへ移す前に、大学と施設の規則を確認します。学外への相談では、実際の患者資料を送らず、承認された教材や自分の理解上の疑問に置き換えてください。氏名だけ消せば常に利用できるとは限りません。

臨床実習後の評価など、今後の技能評価が予定されている場合は、対象課題と指導内容を大学で確認します。できなかった動作や説明は記録し、練習可能な環境で助言を受けましょう。知識の読み直しだけで技能が身についたと判断せず、実際の再現で確かめてください。

臨床実習後の技能・態度の評価として、CATOは臨床実習後OSCE(Post-CC PX)を実施しています。共用試験の説明資料では、令和2年度(2020年度)から正式実施とされています。対象や時期、大学での扱いは所属大学の案内で確認してください。

実技や説明の練習方法を整理したい場合は、CBT・OSCE対策コースのページもご覧ください。

図表3 臨床実習の前後にある主な評価
評価 時期 主に確かめるもの 確認先
共用試験CBT 臨床実習の前 知識 大学の受験案内・CATO
共用試験OSCE 臨床実習の前 態度・基本的な臨床技能 大学の受験案内・CATO
臨床実習後OSCE(Post-CC PX) 臨床実習の後 技能・態度 大学の案内・CATO
歯科医師国家試験 6年次の1〜2月(第120回は2027年1月30日・31日) 臨床上必要な知識・技能 厚生労働省の施行案内

共用試験は2024年4月から歯科医師法に基づく試験です。大学独自の評価(実習評価・卒業試験など)は所属大学で確認してください。

つまずきに合わせた対策の比較

今の困りごとに近い行を選び、「確認する点」から試してください。複数に当てはまる場合は、提出期限や試験日が近いものから取り組みます。

図表4 困りごと別の確認ポイントと次の行動
困りごと 確認する点 次の行動
実習記録が作業になる 観察と疑問が分かれているか 一つの問いを翌日の復習へ
国試の学習が続かない 実習内容との接点 関連問題を少数選ぶ
学外へ相談したい 情報の利用規則 承認教材と一般化した疑問で相談

一週間の学習計画例

図表5 一週間の学習計画例(計画例であり標準プランではありません)
時期 取り組み できたかの確認
週初め 診療科の到達目標と提出期限を確認する。 診療科の到達目標と提出期限を書き出した
実習前 大学が指定する予習項目を確認する。 指定の予習項目を確認した
実習後 観察・根拠・疑問を分け、一つを復習する。 観察・根拠・疑問を分け、疑問を一つ復習した
週末 関連問題と基礎の説明を見直し、次週の質問を整理する。 関連問題で説明を確かめ、次週の質問をまとめた

授業・実習・体調に合わせて量を調整し、説明できた内容と解き直せた問題から翌週の課題を決めましょう。

架空の学習相談例

説明用の架空例

学生:実習が終わると疲れて、国試の勉強まで手が回りません。

講師:その日の疑問を一つだけ学習課題にできますか。

学生:画像でどこを見て判断したのか、説明できません。

講師:では許可された教材で類似の所見を確認し、関連問題を一問解いてみましょう。

実在する受講者・講師の会話や体験談ではなく、成績や合格を保証するものでもありません。

まとめ|今の課題から次の一歩を決める

5年生は実習の経験を学びに変えることを重視しましょう。疑問を一つ選び、基礎へ戻り、関連問題で説明を確かめる流れをつくります。情報管理と大学の指導を守りながら、進級、今後の評価、国家試験への土台を整えてください。

5年生の学習でよくある質問

Q1.実習中も国試問題を解いた方がよいですか?

実習の到達目標と課題を優先し、関連する少数の問題から確認できます。量を増やして実習準備や睡眠を圧迫しないよう調整します。

Q2.患者資料をオンラインの先生へ送れますか?

自己判断で送らず、大学と施設の規則を確認してください。原則として学外相談は承認教材と一般化した疑問で行いましょう。

Q3.見学した内容を全部ノートに残すべきですか?

必要な記録は大学の指示に従います。自分の復習では観察、根拠、疑問を絞ると、次の学習課題が明確になります。

Q4.実習で分からないことはいつ質問しますか?

診療を妨げないタイミングや方法を指導者に確認してください。安全に関わる不明点は自分で進めず、その場で指示を求めます。

Q5.5年生のうちに全科目を完成させる必要がありますか?

一律には決まりません。大学の予定と理解度に合わせ、実習に関わる基礎と弱点を計画的に補いましょう。

理解度確認テスト10問

記事の要点を確認するセルフチェックです。大学の試験問題や、公式の評価・合格判定ではありません。答えを考えてから、解答と解説を開いて確認してください。

  1. 実習前に確認する資料は?
    解答・解説を開く

    解答:実習要項と到達目標。

    解説:評価と提出条件も把握します。

  2. 振り返りで分ける三つの内容は?
    解答・解説を開く

    解答:観察、判断の根拠、疑問。

    解説:経験と自分の理解を整理します。

  3. 復習の問いはいくつから始める?
    解答・解説を開く

    解答:一つからでもよい。

    解説:継続できる具体的な課題を選びます。

  4. 基礎を復習する範囲は?
    解答・解説を開く

    解答:疑問を説明するために必要な部分。

    解説:全範囲のやり直しに広げ過ぎないためです。

  5. 国試問題の条件と実際の診療は同じ?
    解答・解説を開く

    解答:状況を分けて確認する。

    解説:個々の判断には指導者の指示が必要です。

  6. 氏名を消せば患者資料は自由に送れる?
    解答・解説を開く

    解答:自由には送れない。

    解説:大学と施設の規則を先に確認します。

  7. 学外相談に使いたい資料は?
    解答・解説を開く

    解答:承認教材と一般化した疑問。

    解説:実際の患者情報を持ち出さず相談します。

  8. 技能を確認する方法は?
    解答・解説を開く

    解答:指導下での実技と助言。

    解説:読むだけでは動作の再現を確認できません。

  9. 安全に関わる疑問があれば?
    解答・解説を開く

    解答:自分で進めず指導者に確認する。

    解説:学生の自己判断で対応しないためです。

  10. 週末に整理するものは?
    解答・解説を開く

    解答:残る疑問と次週の質問。

    解説:実習と復習を継続してつなげます。

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CES歯科医師国試予備校は、講師1人・生徒1人の完全マンツーマン指導です。福岡での通学と全国からのオンライン受講に対応し、大学の授業・定期試験・共用試験・国家試験まで、今の課題に合わせて学習計画を立てます。相談の際は、所属大学、学年、試験範囲、間違えた問題や途中式をお知らせください。

電話受付:月〜土 8:30〜22:00/日・祝 10:00〜18:00

執筆・編集:CES歯科医師国試予備校 講師チーム

監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)。医療系国家試験・医歯薬系大学の学習指導に30年以上携わり、学年ごとのつまずきに合わせた個別指導を統括。

最終更新日:2026年10月30日