【2026年】第119回歯科医師国家試験 総評|必修・A〜Dパートの難易度・傾向と今後の対策

第119回歯科医師国家試験総評

第119回歯科医師国家試験受験者の皆様、2日間本当にお疲れ様でした。自己採点をしたり、様々な採点サービスを利用したりと、肩の荷を下ろしながらも結果が出るまでやきもきしているところかと思います。

ここでは119回歯科医師国家試験について全体の講評及び各パートの講評、今後の傾向や対策について簡単にお話します。受験生の皆様や次年度以降に受験生となる皆様の参考になりますと幸いです。なお、こちらはあくまで当予備校講師としての見解であり、他予備校等の講評とは異なることがございますのでご了承ください。

第119回歯科医師国家試験|全体の総評

●全体として

119回の全体的な難易度

昨年度とは打って変わり、臨床問題では馴染みのない場面設定から推察力を問う問題が増えた印象です。そのような問題は選択肢からしぼれるものが多く、例年通りのシンプルな問題も多数あったため結果としての難易度は例年と同程度になると予想されますが、初見の困惑や時間を削られることによる焦りから難しいと感じた受験生は少なくなかったでしょう。基礎問題も昨年度とは異なり理工学や免疫・発生等分野で細かい知識を問われ、難問が増えた印象です。必修は易問が増え、その他は難問が増えているため全体の平均点は例年から大きくは変わらない~わずかに低い予想です。

118回との比較

118回と比較すると、全身に関連した問題はやや増えて安定した印象です。歯科であまり教えていないトピック(WPW症候群、半夏瀉心湯など)が目立ちましたが、他の選択肢から正答を苦し紛れでも選べるようになっており、出題方法が安定してきたかと予想します。生理学や解剖学など基礎医学について定期試験・CBTで問われるような問題も例年と同数程度だが知識の更新に伴い難化した印象で、既卒の受験生は少し苦戦することとなったかもしれません。しばらくトレンドであった在宅医療に関する問題はやや減少し難易度も例年通りの印象です。

必修問題の難易度と対策

●必修問題

必修問題の概要と合格基準

受験生の方はご存知だと思いますが、A~Dパートの各冒頭20問が必修問題となっています。合格基準として80%以上、つまり80問中64問以上の正解が必要となります。

119回の必修問題の所感

119回の必修問題は全体として試験対策をしていれば自然と頭に入るような暗記事項を問う易問が多かった印象です。英語問題も選択肢や特徴的な単語から容易に正答を選択できたでしょう。C6は講義で教わることはあまりないかもしれませんが、高校の保健体育や泥酔者の介抱で耳にしたことはあるかと思いますので多くの方が正答を選べたことでしょう。D6は歯種と骨壁の形状から選べたかもしれませんが難問だったかと思います。

必修問題の対策ポイント

①出題の多い分野である衛生学をしっかり押さえる。『実践』や『Answer』の衛生パートを周回するだけでも力はつきますが、さらに『Dr.加藤の国試合格ノート』を一読し、単語帳を法律の暗記等に活用するのがおすすめです。

②『必修navi』や過去問集の必修問題パートを周回する。必修問題には他問題の対策では頭に入りにくいややニッチな暗記事項が出題されることもあるため、必修問題に特化した対策は重要です。

③基礎をないがしろにせずしっかり理解する。これは現在講義を受ける歯学部生向けですが、生理学や発生学など基礎をないがしろにせずしっかり理解しましょう。一見分からない問題が出題されても、理論から推理することで分からないなりに選択肢を選べるようになります。特に基礎医学の知識は更新され、必修でも思考問題が増加しているため講義の重要性は増しています。

Aパートの講評

●Aパート

やや難しい印象です。A31など実際に評価尺度の使用時を想定した問題が目立ちました。ADLの評価尺度はいくつかあるため混乱した受験生もいたかと思いますが、選択肢を見るとかなり削ることができる問題であるため、落ち着くことができれば選択できたことでしょう。A36は選択肢を見ると選びやすい問題だったかと思いますが、高齢者の定期接種項目はここ3年ほどで数項目増加し、問題難化のゆとりがあるため今後の受験生は注意したほうがいいでしょう。A84は基礎医学出題の内容更新として特徴的だったかと思います。

Bパートの講評

●Bパート

基礎問題も臨床問題もやや易しい印象です。B61は聞きなれない単語の説明問題で、歯科医師法などの条文暗記で培ったトラウマから焦った受験生も多いことでしょう。穴抜き以外の説明文では人々の繋がりそのものに価値を見出しており、選択肢に見られる環境改善など何かしらの目的や公的支援から匂わせられる第三者の存在については「活発化」との繋がりも考えると消去できるため少し苦しいが正答を選ぶことができたでしょう。

Cパートの講評

●Cパート

全体の難易度

難問と易問が同程度のため難易度は例年通りの印象です。臨床問題は臨床操作を細かく問う問題が多くなっていますが、重点的に講義されるものばかりなのであまりに難しいことはなかったでしょう。

注目の問題

C13は場面も選択肢も分からないところから既存知識による推測で正答を導くことができるやや難の良問です。C19はCBTに主立ってみられる分野からの出題です。国試前は念のためCBTの対策本もパラ見程度に復習していたほうがいいのかもしれません。C42は基礎医学の細かい知識として特徴的だったかと思います。C49は医科連携として特徴的だったかと思います。

Dパートの講評

●Dパート

基礎問題も臨床問題もやや難しい印象です。D44、D73は理工学の細かい知識として特徴的だったかと思います。D65、D69、D71、D75、D78、D89は自信をもって選択しにくい問題だったかと思います。

今後の傾向と対策

●今後の傾向や対策

出題傾向の予想と科目別対策

今後の傾向として医科分野の出題は今年度と同程度で落ち着く予想され、難易度は高まる可能性もありますが選択肢からしぼれるようになっていると予想します。個人での対策は難しいことも多いため、大学での試験対策にはよく耳を傾けるようにしましょう。漢方については歯科保険収載されているもの、その効能、生薬の副作用、生薬と収載薬の関連などを押さえ、出題数が少ないのでその他については問題演習の都度に押さえる方針が効率的かと思います。116回の対策から漢方は取り上げられており、模試に出題されているため、過去の模試を練習として用いるもの効果的です。実習からの出題は難化していく可能性が予想されるため、術式や使用する糸の種類など実習については行動の理由も含めしっかり復習するようにしましょう。学部生は二年次に開講される基礎医学についてしっかり理解し、在宅医療の見学等を行ってみてください。

本番での心構え

思考問題が増加しているため、本番では暗記ものを可能な限り素早く解いて思考問題に時間を残し、なおかつ冷静になることが重要になるでしょう。冷静になるためにはやはり一度素早く最後まで解き、自信のない問題に戻ることが効果的なので、既存知識の定着を頑張りましょう。思考問題は基本的には馴染みがなくても既存知識で選べるようになっているので、恐れることはありません。

まとめ|第119回歯科医師国家試験の総評

第119回歯科医師国家試験は、臨床問題で推察力を問う新傾向の問題が増加した一方、必修は易問が多く、全体の難易度は例年と同程度~わずかに難化した印象です。

各パートの難易度をまとめると、Aパートはやや難、Bパートはやや易、Cパートは例年通り、Dパートはやや難という評価になります。

今後の対策としては、基礎医学の理解を深めること、思考問題への対応力を養うこと、そして暗記事項の素早い処理で思考問題に時間を残す戦略が重要です。

 

著者プロフィール

CES歯科医師国試予備校 C先生

東京医科歯科大学首席卒業。CES歯科医師国家試験予備校講師。進級対策、国試対策ともにすべての範囲を担当しています。一見難しく感じる問題もわかりやすく解説します。