歯学部専門科目の勉強法|苦手な生物・化学・解剖を「使える知識」へ変える

苦手を克服するイメージ

はじめに:歯学部の”専門科目”でつまずく理由

歯学部の2〜4年次では、「専門科目」が一気に増加し、勉強の負担が大きくなります。特に、次の3分野は多くの学生が苦手意識を持ちやすい領域です。

  • 生物学:(生理、遺伝、分子関連の複雑な機構)
  • 化学:(有機化学から生化学への橋渡し)
  • 解剖学:(膨大な暗記と立体的構造理解)

これらの分野は歯科医師国家試験に直結するため、早期克服が不可欠です。本講座では、各科目の苦手克服法を“理解→整理→実践→定着”の流れで解説します。

第1章 生物:現象を「つなげて」理解する

1. 苦手の正体

生物が苦手な学生の多くは、”断片的な暗記”に頼っていることが原因です。代謝、遺伝、生理などをバラバラに覚えると、知識間の因果関係や思考の軸が作れません。

2. 克服ステップ

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ステップ 内容 学習ポイント
① 構造で整理 代謝経路・臓器機能を図にまとめる ノートは”線でつなぐ”構造型にする

コラーゲン合成など、どのステップが細胞のどこで起きているのかも論点となるので、細胞のイラストも併せて描いておきましょう。

② 機能で理解 仕組みを「原因と結果」で考える “なぜ起こるか”を自分の言葉で説明できるか確認

機序は冗長になることが多いので、翻訳であれば
①mRNAにリボソームが結合し
②リボソームがtRNAをmRNAに結合させていくことで
③tRNAに結合しているアミノ酸同士の距離が近づきペプチド鎖ができる

というようにステップ分けすると覚えやすいです。

③ 国試過去問で応用 出題テーマを体系的に演習する 毎週1テーマを完結させるペースで進める

3. 推奨学習法

  • 知識を「人体 → 細胞 → 分子」の順で整理する。
  • 学内の講義スライドを“3色マーカー法”で分類(構造・機能・臨床)。
  • グループで「説明し合う」形式の勉強を週1回行う。

第2章 化学:生化学への”橋”を作る

1. 苦手の正体

歯学部の化学は、有機化学、反応機構、生化学が密接に関係しています。この「つながり」を意識しないと、「化学=公式暗記」で終わり、生化学の理解が進みません。

酸化還元反応は高学年の鬼門である材料理工学の基礎的な考えにもなるため、材料理工学を克服するためにも苦手意識はなくしておきましょう。

2. 克服ステップ

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ステップ 内容 目的
① 有機化学の反応機構を理解 酸化・還元・置換などのパターン化 生化学(代謝)とのつながりを意識する
② 生体内反応との対応 酵素反応・ATP生成などを化学的視点で理解 生理現象の基礎的なメカニズムを把握する
③ 演習で実戦化 反応経路を”書いて説明”する 思考を可視化し、アウトプット力を養う

3. 学習のコツ

  • 「反応式」だけでなく「電子の動き」を追う。
  • 1枚の紙に“化学 → 生化学 → 生理”をつなぐ図を作成する。
  • 国試過去問で“反応パターン”を分類して整理する。

第3章 解剖学:暗記から「構造的理解」へ

1. 苦手の正体

覚える量が多すぎて、単純暗記の限界を感じやすい科目です。しかし、解剖学は「機能(なぜ動くか)」と「構造(どこにあるか)」を結びつけると、一気に理解が進みます。

覚える際はとにかく絵や動画を頭に浮かべながら暗記しましょう。イラストの暗記カードも有効です。構造物の位置感覚などがCTやMRIなど画像診断時の基礎となるためしっかり覚えましょう。

2. 克服ステップ

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ステップ 内容 ポイント
① 図で覚える 骨・筋・神経・血管を”位置関係”で整理 模型・3Dアプリを併用し、立体的に捉える
② 動作で理解 「動かす → どの筋肉?」を確認 自分の体で動きを確認し、体感で覚える
③ 臨床との関連で定着 症例画像・臨床例と照合する 国家試験にも直結する応用力を養う

3. 効果的な教材活用

  • 解剖アトラス(Netterなど)と国家試験過去問のセット学習。
  • アプリ(Complete Anatomyなど)で「立体的理解」を補強する。
  • “構造カード”を自作し、短時間復習を習慣化する。

第4章 その他の専門科目の克服ヒント

生理学

  • 図表・波形を多用して「動き(ダイナミクス)」を理解する。
  • 各器官のフィードバック機構を1枚の紙で整理する。

病理学

  • 正常 → 異常の変化を「比較図」で覚える。
  • 臨床実習前に“画像+原因”で知識を統合する。

微生物学

  • 感染経路・毒素・免疫応答の関連マップ化を行う。
  • 国試出題傾向を意識した「疾患別整理ノート」を作成する。

第5章 “使える知識”に変える実践演習法

1. 週単位での復習サイクル

知識の断片化を防ぐため、「横断的復習」をルーティンに組み込みます。

  • 月曜: 講義復習(ノート整理)
  • 水曜: 関連分野を横断復習(例:生理と生化)
  • 金曜:国試過去問 or 模擬問題でアウトプット

2. グループ学習のすすめ

自分で説明できる=理解できていることの証拠です。2〜3人の少人数グループで「講義テーマを教え合う」形式を導入しましょう。

3. 定着のチェックリスト

  • “なぜ”を3回連続で説明できるか。
  • 図なしで機構を口頭再現できるか。
  • 過去問の選択肢を根拠付きで説明できるか。

第6章 国家試験への接続を意識した学習設計

歯学部の専門科目は、そのまま国家試験の得点源となります。

  • 2年次: 基礎医学(生理・化学)を体系化し、「知識の軸」を作る。
  • 3年次: 解剖・病理・生化を臨床と結びつけ、「応用力」を鍛える。
  • 4年次: CBT対策を通じて総復習し、「実戦演習」へ移行する。

まとめ:苦手を克服する最大の鍵は「理解の順序」

歯学部の専門科目は、”順序”を誤るとすぐに行き詰まります。しかし、以下の流れで進めれば、確実に得点源へ変えられます。

  1. 構造理解:(図解・関連づけ)
  2. 機能理解:(原因と結果の論理)
  3. 臨床応用:(実際に使う場面を想定)

苦手分野を早期に“つながり”で整理し、「知っている」から「使える」へ変換することが、国試突破と臨床力の両立につながります。

 

監修者プロフィール

CES歯科医師国試予備校 C先生

東京医科歯科大学首席卒業。CES歯科医師国家試験予備校講師。進級対策、国試対策ともにすべての範囲を担当しています。一見難しく感じる問題もわかりやすく解説します。