2026年度私立大学歯学部の志願者数が大幅増加|歯学部受験と入学後の国家試験対策
2026年度私立大学入試で歯学部志願者数が大幅増加
歯学部受験と、入学後に問われる進級・卒業試験・歯科医師国家試験対策
2026年度の私立大学入試では、歯学系統の志願者数が前年より大きく増加しました。歯学部人気の回復をどう見るべきか、そして入学後の6年間をどう乗り切るべきかを、CES歯科医師国試予備校の視点で解説します。
この記事のポイント
代々木ゼミナールの2026年4月25日集計では、歯学系統の志願者数は3,490人から4,322人へ増加しました。
歯学系統の指数は123.8%。私立大学全体の110.2%を大きく上回っています。
歯学部は入学がゴールではなく、進級・CBT・OSCE・卒業試験・歯科医師国家試験まで見据えた学習管理が重要です。
2026年度の私立大学入試では、私立大学全体で志願者数が増加しました。その中でも特に目立つのが、歯学部系統の伸びです。
駿台予備学校の2026年度私立大学入試状況分析では、私立大学一般選抜において「歯」の前年度対比指数は118となり、国際関係と並んで大きく志願者数を伸ばした系統として示されています。私立大学全体の指数は109であるため、歯学部系統は全体平均を上回る伸びを見せたことになります。
また、代々木ゼミナールの2026年4月25日時点の私立大学出願状況でも、歯学系統は2025年度の志願者数3,490人から、2026年度は4,322人へ増加しています。増加数は832人、指数は123.8%で、志願倍率も6.2倍から7.8倍へ上昇しました。
注記:本記事では「受験者数の増加」と一般的に表現される動向について、入試統計上は主に「志願者数」の増加として扱います。実際の受験者数・合格者数・入学者数は、大学別の確定資料が公表された後に確認する必要があります。
2026年度私立大学入試における歯学部志願者増加の概要
代々木ゼミナールの学部・学科系統別集計では、私立大学全体、一般選抜、そして歯学系統のいずれも志願者数が増加しています。特に歯学系統は、私立大学全体を上回る伸び率となっています。
| 区分 | 2025年度 募集人数 |
2025年度 志願者数 |
2025年度 志願倍率 |
2026年度 募集人数 |
2026年度 志願者数 |
2026年度 志願倍率 |
増減数 | 指数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 私立大学全体 | 218,550人 | 3,099,839人 | 14.2倍 | 213,502人 | 3,415,855人 | 16.0倍 | +316,016人 | 110.2% |
| 歯学系統 | 560人 | 3,490人 | 6.2倍 | 557人 | 4,322人 | 7.8倍 | +832人 | 123.8% |
なぜ私立歯学部の志願者数が増えているのか
歯学部の志願者数増加には、いくつかの背景が考えられます。
医療系専門職への安定志向
歯科医師は国家資格であり、勤務医、開業、専門医療、訪問歯科、高齢者歯科、口腔外科、審美歯科など将来の選択肢が広い職業です。
歯科医療の役割拡大
高齢化社会では、口腔機能の維持、誤嚥性肺炎予防、摂食嚥下支援、在宅医療との連携など、歯科医師に求められる役割が広がっています。
医療系学部の中での再評価
医学部・薬学部・看護学部などと比較しながら、歯学部を「専門職資格につながる進路」として再評価する受験生・保護者が増えている可能性があります。
ただし、歯学部は「入学しやすさ」だけで選んではいけない
歯学部受験で注意すべきなのは、志願倍率や合格可能性だけを見て大学を選んでしまうことです。歯学部は6年制であり、入学後には基礎医学、歯科基礎科目、臨床科目、実習、CBT、OSCE、卒業試験、そして歯科医師国家試験が待っています。
文部科学省の令和7年度歯学部歯学科入試結果を見ると、私立大学歯学部全体では、入学定員1,828人に対して志願者数は8,779人、受験者数は7,998人、合格者数は3,823人、入学者数は1,677人でした。競争倍率は2.09倍、定員充足率は91.7%です。
つまり、私立歯学部全体としては一定の志願者数がある一方で、実際の入学者数は定員を下回っており、大学ごとの差も大きいことが分かります。
参考資料:2025年度 私立大学歯学部別 入試結果
以下は、文部科学省「令和7年度 歯学部歯学科入試結果」に基づく参考資料です。2026年度の大学別確定値ではなく、私立歯学部を比較するための基礎資料として掲載しています。
志願倍率=志願者数÷入学定員、競争倍率=受験者数÷合格者数、定員充足率=入学者数÷入学定員です。文部科学省資料では、私立大学の入学定員は募集人員として扱われています。
| 大学名 | 定員 | 志願者数 | 志願倍率 | 受験者数 | 合格者数 | 競争倍率 | 入学者数 | 定員充足率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道医療大学 | 80人 | 492人 | 6.15倍 | 463人 | 334人 | 1.39倍 | 72人 | 90.0% |
| 岩手医科大学 | 57人 | 148人 | 2.60倍 | 113人 | 93人 | 1.22倍 | 38人 | 66.7% |
| 奥羽大学 | 80人 | 133人 | 1.66倍 | 124人 | 83人 | 1.49倍 | 33人 | 41.3% |
| 明海大学 | 120人 | 474人 | 3.95倍 | 417人 | 213人 | 1.96倍 | 121人 | 100.8% |
| 東京歯科大学 | 128人 | 909人 | 7.10倍 | 817人 | 215人 | 3.80倍 | 128人 | 100.0% |
| 昭和医科大学 | 96人 | 753人 | 7.84倍 | 701人 | 164人 | 4.27倍 | 100人 | 104.2% |
| 日本大学 | 128人 | 956人 | 7.47倍 | 864人 | 310人 | 2.79倍 | 128人 | 100.0% |
| 日本大学 松戸歯学部 | 128人 | 503人 | 3.93倍 | 416人 | 403人 | 1.03倍 | 115人 | 89.8% |
| 日本歯科大学 | 128人 | 608人 | 4.75倍 | 561人 | 244人 | 2.30倍 | 128人 | 100.0% |
| 日本歯科大学 新潟生命歯学部 | 80人 | 284人 | 3.55倍 | 269人 | 162人 | 1.66倍 | 79人 | 98.8% |
| 神奈川歯科大学 | 115人 | 336人 | 2.92倍 | 302人 | 234人 | 1.29倍 | 118人 | 102.6% |
| 鶴見大学 | 115人 | 246人 | 2.14倍 | 204人 | 155人 | 1.32倍 | 67人 | 58.3% |
| 松本歯科大学 | 96人 | 205人 | 2.14倍 | 195人 | 172人 | 1.13倍 | 65人 | 67.7% |
| 朝日大学 | 128人 | 852人 | 6.66倍 | 779人 | 246人 | 3.17倍 | 162人 | 126.6% |
| 愛知学院大学 | 125人 | 405人 | 3.24倍 | 353人 | 310人 | 1.14倍 | 113人 | 90.4% |
| 大阪歯科大学 | 128人 | 1,265人 | 9.88倍 | 1,226人 | 320人 | 3.83倍 | 128人 | 100.0% |
| 福岡歯科大学 | 96人 | 210人 | 2.19倍 | 194人 | 165人 | 1.18倍 | 82人 | 85.4% |
| 私立大学歯学部 計 | 1,828人 | 8,779人 | 4.80倍 | 7,998人 | 3,823人 | 2.09倍 | 1,677人 | 91.7% |
歯学部志願者数増加は、入学後の競争の始まりでもある
2026年度に歯学部志願者数が増えたことは、歯科医師という職業への関心が高まっているという意味では前向きな動きです。しかし、歯学部の場合、入試合格はゴールではありません。
歯学部生にとって本当に重要なのは、6年間で進級し、卒業試験を突破し、新卒で歯科医師国家試験に合格することです。特に私立歯学部では、進級要件、再試験制度、卒業試験の難易度、国家試験対策の体制が大学によって異なります。
そのため、受験段階から「どの大学に入るか」だけでなく、「入学後にどのように学習を継続できるか」を考えておく必要があります。
第119回歯科医師国家試験が示す、新卒合格の重要性
第119回歯科医師国家試験では、全体の受験者数は2,837人、合格者数は1,757人、合格率は61.9%でした。新卒者は1,849人が受験し、1,482人が合格、合格率は80.2%です。一方、既卒者は988人が受験し、275人が合格、合格率は27.8%でした。
新卒と既卒の差は非常に大きく、歯学部では「新卒で国家試験に合格すること」が極めて重要です。低学年の基礎医学、歯科基礎科目でつまずくと、その後のCBT、OSCE、臨床科目、卒業試験、国家試験対策に影響します。
歯学部受験生・歯学生が早い段階で確認すべきこと
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 志願者数・志願倍率 | 受験段階でどれだけ人気があるか |
| 競争倍率 | 実際の受験者に対してどれだけ合格しにくいか |
| 入学者数・定員充足率 | 大学が定員を満たしているか、大学ごとの状況に差があるか |
| 進級要件 | 留年・再試験・進級判定の厳しさ |
| 卒業試験 | 国家試験前の大きな関門になっているか |
| 国家試験合格率 | 新卒・既卒別に確認し、6年間の学習設計につなげる |
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執筆者紹介
岩崎陽一
株式会社アクト代表。PMD医学部専門予備校、CES医師国試予備校、CES歯科医師国試予備校、CES薬剤師国試予備校、Meg獣医師国試予備校、Meg看護師国試予備校、Meg心理師国試予備校を運営。医療系学部受験、進級・卒業試験、国家試験対策において、マンツーマン指導と学習管理を重視した教育サービスを展開している。
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