歯学部5年生の勉強法|臨床実習の振り返りと進級・国試準備
結論
歯学部5年生は、臨床実習で生じた疑問を、その日の短い復習と基礎知識の確認へつなげましょう。実習の到達目標、提出物、学内評価を把握し、患者情報を適切に扱いながら、経験を説明できる知識として整理することが大切です。
この記事の要点
- 最初に実習要項で、到達目標・提出物・評価方法を確認する。
- 振り返りは「観察したこと・指導で説明された判断の根拠・自分の疑問」に分け、疑問を一つ翌日の復習へ回す。
- 疑問は必要な基礎科目だけへ戻って説明し、関連する国試過去問や授業問題で確認する。
- 患者情報は大学・施設の規則に従い、学外相談は承認された教材と一般化した疑問で行う。
本記事は、歯科医師の養成を目的とする6年制の歯学課程に在籍する方(入学予定者を含む)向けの学習ガイドです。履修時期、試験、進級・卒業要件は大学と入学年度で異なるため、所属大学の最新案内を優先してください。学習手順・比較表・週間計画は本記事の提案であり、全国共通の必須手順ではありません。
5年生の学習で優先したいこと
科目の配置、共用試験の受験時期、臨床実習の開始時期は大学と入学年度で異なります。所属大学の履修要項・シラバスで確認してください。
臨床実習の到達目標と評価を先に把握する
実習の開始時期、診療科の回り方、求められる記録や評価方法は大学で異なります。5年生の一般的な学習ガイドとして、まず所属大学の実習要項を確認してください。参加した時間だけで学びを判断せず、何を観察し、何を説明できるようになるかを目標にします。
経験した内容は観察・判断の根拠・疑問に分ける
振り返りは、見たこと、指導で説明された判断の根拠、自分に残った疑問を分けて書きます。見学した手順を長く写すだけでは、何が理解できていないか見えません。翌日の学習へつながる問いを一つ選ぶと、短い時間でも復習の焦点が定まります。
| 欄 | 書くこと | 記入例(説明用の架空例) |
|---|---|---|
| 観察したこと | 見た手順・所見・患者さんへの説明を事実として | 診療前に、指導医が画像のある部位を確認していた |
| 判断の根拠 | 指導で説明された理由(自分の推測と分ける) | 所見の位置と範囲を確かめてから処置方針を説明していた |
| 自分の疑問 | 説明できなかった点を一つに絞る | 画像のどこを見て、何と区別していたのか |
| 翌日の復習 | 戻る基礎科目と、確認に使う問題 | 許可された教材で正常像を復習し、関連問題を一問解く |
記入例は架空です。実際の患者情報(氏名・画像・診療内容など)は、このシートや私物端末に記録しないでください。
基礎と臨床をつなぎ、関連問題で確認する
実習で分からなかった内容を、解剖、生理、病理、薬理などの必要な範囲へ戻して復習します。基礎科目をすべて最初から読み直すのではなく、目の前の疑問を説明するための部分を選びましょう。理解が整ったら、関連する国試過去問や授業問題で確認します。
問題の正答が実習で見た対応と違って見えたときは、設問条件と診療の状況を分けて考えます。限られた選択肢の問いを、個々の患者への指示へ直結させないでください。指導教員に条件の違いを尋ね、学習上の説明を整理することが重要です。
実習と並行して国家試験の学習を少しずつ進めたい場合は、国家試験対策コースで、実習の予定に合わせた量から計画できます。
患者情報の扱いと技能評価への準備を確認する
患者の氏名や画像、診療内容などを私物端末や外部サービスへ移す前に、大学と施設の規則を確認します。学外への相談では、実際の患者資料を送らず、承認された教材や自分の理解上の疑問に置き換えてください。氏名だけ消せば常に利用できるとは限りません。
臨床実習後の評価など、今後の技能評価が予定されている場合は、対象課題と指導内容を大学で確認します。できなかった動作や説明は記録し、練習可能な環境で助言を受けましょう。知識の読み直しだけで技能が身についたと判断せず、実際の再現で確かめてください。
臨床実習後の技能・態度の評価として、CATOは臨床実習後OSCE(Post-CC PX)を実施しています。共用試験の説明資料では、令和2年度(2020年度)から正式実施とされています。対象や時期、大学での扱いは所属大学の案内で確認してください。
実技や説明の練習方法を整理したい場合は、CBT・OSCE対策コースのページもご覧ください。
| 評価 | 時期 | 主に確かめるもの | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 共用試験CBT | 臨床実習の前 | 知識 | 大学の受験案内・CATO |
| 共用試験OSCE | 臨床実習の前 | 態度・基本的な臨床技能 | 大学の受験案内・CATO |
| 臨床実習後OSCE(Post-CC PX) | 臨床実習の後 | 技能・態度 | 大学の案内・CATO |
| 歯科医師国家試験 | 6年次の1〜2月(第120回は2027年1月30日・31日) | 臨床上必要な知識・技能 | 厚生労働省の施行案内 |
共用試験は2024年4月から歯科医師法に基づく試験です。大学独自の評価(実習評価・卒業試験など)は所属大学で確認してください。
つまずきに合わせた対策の比較
今の困りごとに近い行を選び、「確認する点」から試してください。複数に当てはまる場合は、提出期限や試験日が近いものから取り組みます。
| 困りごと | 確認する点 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 実習記録が作業になる | 観察と疑問が分かれているか | 一つの問いを翌日の復習へ |
| 国試の学習が続かない | 実習内容との接点 | 関連問題を少数選ぶ |
| 学外へ相談したい | 情報の利用規則 | 承認教材と一般化した疑問で相談 |
一週間の学習計画例
| 時期 | 取り組み | できたかの確認 |
|---|---|---|
| 週初め | 診療科の到達目標と提出期限を確認する。 | 診療科の到達目標と提出期限を書き出した |
| 実習前 | 大学が指定する予習項目を確認する。 | 指定の予習項目を確認した |
| 実習後 | 観察・根拠・疑問を分け、一つを復習する。 | 観察・根拠・疑問を分け、疑問を一つ復習した |
| 週末 | 関連問題と基礎の説明を見直し、次週の質問を整理する。 | 関連問題で説明を確かめ、次週の質問をまとめた |
授業・実習・体調に合わせて量を調整し、説明できた内容と解き直せた問題から翌週の課題を決めましょう。
架空の学習相談例
説明用の架空例
学生:実習が終わると疲れて、国試の勉強まで手が回りません。
講師:その日の疑問を一つだけ学習課題にできますか。
学生:画像でどこを見て判断したのか、説明できません。
講師:では許可された教材で類似の所見を確認し、関連問題を一問解いてみましょう。
実在する受講者・講師の会話や体験談ではなく、成績や合格を保証するものでもありません。
まとめ|今の課題から次の一歩を決める
5年生は実習の経験を学びに変えることを重視しましょう。疑問を一つ選び、基礎へ戻り、関連問題で説明を確かめる流れをつくります。情報管理と大学の指導を守りながら、進級、今後の評価、国家試験への土台を整えてください。
5年生の学習でよくある質問
Q1.実習中も国試問題を解いた方がよいですか?
実習の到達目標と課題を優先し、関連する少数の問題から確認できます。量を増やして実習準備や睡眠を圧迫しないよう調整します。
Q2.患者資料をオンラインの先生へ送れますか?
自己判断で送らず、大学と施設の規則を確認してください。原則として学外相談は承認教材と一般化した疑問で行いましょう。
Q3.見学した内容を全部ノートに残すべきですか?
必要な記録は大学の指示に従います。自分の復習では観察、根拠、疑問を絞ると、次の学習課題が明確になります。
Q4.実習で分からないことはいつ質問しますか?
診療を妨げないタイミングや方法を指導者に確認してください。安全に関わる不明点は自分で進めず、その場で指示を求めます。
Q5.5年生のうちに全科目を完成させる必要がありますか?
一律には決まりません。大学の予定と理解度に合わせ、実習に関わる基礎と弱点を計画的に補いましょう。
理解度確認テスト10問
記事の要点を確認するセルフチェックです。大学の試験問題や、公式の評価・合格判定ではありません。答えを考えてから、解答と解説を開いて確認してください。
- 実習前に確認する資料は?
解答・解説を開く
解答:実習要項と到達目標。
解説:評価と提出条件も把握します。
- 振り返りで分ける三つの内容は?
解答・解説を開く
解答:観察、判断の根拠、疑問。
解説:経験と自分の理解を整理します。
- 復習の問いはいくつから始める?
解答・解説を開く
解答:一つからでもよい。
解説:継続できる具体的な課題を選びます。
- 基礎を復習する範囲は?
解答・解説を開く
解答:疑問を説明するために必要な部分。
解説:全範囲のやり直しに広げ過ぎないためです。
- 国試問題の条件と実際の診療は同じ?
解答・解説を開く
解答:状況を分けて確認する。
解説:個々の判断には指導者の指示が必要です。
- 氏名を消せば患者資料は自由に送れる?
解答・解説を開く
解答:自由には送れない。
解説:大学と施設の規則を先に確認します。
- 学外相談に使いたい資料は?
解答・解説を開く
解答:承認教材と一般化した疑問。
解説:実際の患者情報を持ち出さず相談します。
- 技能を確認する方法は?
解答・解説を開く
解答:指導下での実技と助言。
解説:読むだけでは動作の再現を確認できません。
- 安全に関わる疑問があれば?
解答・解説を開く
解答:自分で進めず指導者に確認する。
解説:学生の自己判断で対応しないためです。
- 週末に整理するものは?
解答・解説を開く
解答:残る疑問と次週の質問。
解説:実習と復習を継続してつなげます。
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執筆・編集:CES歯科医師国試予備校 講師チーム
監修:岩崎 陽一(株式会社アクト 代表取締役)。医療系国家試験・医歯薬系大学の学習指導に30年以上携わり、学年ごとのつまずきに合わせた個別指導を統括。
最終更新日:2026年10月30日