【歯学部受験応援コンテンツ】歯学部ではどんな勉強をするの?5-6年生編

5-6年生では「臨床実習」に「卒業試験・国家試験」と歯科医師に向けての大詰めとなります。対策をきちんと行いましょう。

臨床実習、卒業・国家試験

 

■はじめに

5-6年生になると、6年間の歯学部での学生生活もいよいよ終盤にさしかかります。この学年になると、臨床実習や卒業試験(卒試)、国家試験(国試)対策が重要となってきます。

《併せてお読みください》

  • 現役の口腔歯科医師が教える。歯学部ではどんな勉強をするの?<3-4年生編>
  • 現役の口腔歯科医師が教える。歯学部ではどんな勉強をするの?<1-2年生編>

 

■臨床実習

CBTやOSCEをクリアした後は、1年間にわたる臨床実習が行われます。大学によっては臨床実習とはよばず、「登院実習」「BSL(Bed Side Learning)」とよばれることもありますが、内容は同じです。

臨床実習は、一人一人単独で受けるわけではありません。ほとんどの場合が5〜6名単位の班に分かれて行われます。班の構成は1年間を通して変わることはないので、班内部での協調性が、実習を乗り切る上でのカギになります。この班が基本となり、数週間単位でいろいろな診療科を回ります。

 

具体的には

  • 4月・・・麻酔科と第一口腔外科を2週間ずつ
  • 5月・・・予防歯科と小児歯科を2週間ずつ※大学によっては、多少異なる可能性もございます。

 

例であげた麻酔科と口腔外科の臨床実習では、全身麻酔下の手術の見学があります。口腔外科の手術見学なんてしても、術野が狭い口腔外科の手術ですから、正直学生にはほとんど見えていません。背が低い学生ならなおさらです。足台を何段も積み上げても、見えているのは術者や助手の『肩』だけだったりします。それでも見えたことにして、もっともらしい手術見学(想像)記録を書きます。

臨床実習とはいえ、患者さんを実際に治療することはほとんどありません。なぜなら、あくまでも身分は学生で、歯科医師免許を持っていないからです。中には、学生同士での相互実習をしているところはあるようですが・・・。

臨床実習の間は、実際に治療する機会はありませんが、レポート作成に追われます。実習した症例を規定数だけレポートにして提出しなければならないからです。もちろん足りなければ進級に差し支えます。また、補綴科では、レポート作成と平行して実際に患者さんのクラウンブリッジや義歯を作成したりします。

ちょっと一息 

手術室で恐ろしいのは手術室の看護師です。立場が似たり寄ったりな研修医の先生の方が、優しいくらいです。看護師たちは、学生達が余計なことをしないか、いらぬものに触れないか、鵜の目鷹の目でじ〜っと監視しています。きつい言葉をかけられるのならまだいいです。『清潔』になると『不潔』なもの(”清潔”な状態になっていない人という意味です。お風呂に入っていないとか、服が臭うとかそんな意味ではありません。)に触れることが禁じられます。そこで、足でけられて注意されることも・・・。まぁ、肘打ちはないのでご安心を(笑)。

 

 

■卒業試験

歯学部では医学部と同じく、他の大学のように卒業論文は課されません。代わりに卒業試験が行われます。論文を書かずに卒業するわけですから、専門学校のようなものですね。

卒業試験は一度きりというわけではなく、3回程度行われ、その平均で卒業の可否が決定されます。卒業試験は、大学によって異なりますが、ほとんどの大学で6年生の夏休み以降に定期的に行われます。

卒業試験の難易度は、どこの大学でも国家試験よりも高い傾向があるとされています。近年の歯科医師国家試験の合格率の低下によって、その傾向に拍車がかかっているものと思われます。そのために、最終学年での留年が増えているといわれています。

多くの大学では、2回以上同じ学年を経験することは出来ない=退学というルールが設けられていますので、卒業試験に2度失敗するということは、卒業できない、つまり中退という事態をもたらします。

特に私立大学では、国家試験の合格率が、翌年の受験者数に影響してきますので、経営問題となります。国家試験の見かけの合格率をあげるために、卒業試験でふるいにかけられる率が高くなっていると考えられます。

 

 

■国家試験

歯学部を無事卒業しても、『歯学士』でしかありません。国家試験の受験資格が得られたというだけで、まだ歯科医師ではないのです。その歯科医師になるための最後の関門が、歯科医師国家試験です。

歯科医師国家試験は、毎年2月に2日間にわたって、全国8カ所の試験会場で行われます。

今年度の歯科医師国家試験について
※厚生労働省のHP参照

 

歯科医師として知っておかなければならない知識と技能を問う試験ということで、基礎医学から臨床医学まで幅広い内容が問われます。それぞれの問題ごとに合格基準が設けられており、毎年の試験ごとに変わりますが、80%という基準は変わらないようです。

試験そのものは選択問題ですが、選択肢を多肢選択としたり、選択肢を増やしたりするなどして、難しくなっています。英語問題も出題されています。

歯科医師国家試験には、医師国家試験と同じく『禁忌問題』というクセモノがあります。これを間違えたら、その他は全てあっていても、不合格とされる問題です。ドボン問題ともよばれる恐ろしい問題です。

こうしたこともあり、歯科医師国家試験の合格率は年々低下の一途をたどり、合格者数がとうとう2000人を切るようになりました。以前のような資格試験というよりも、選抜試験のような趣にかわってきたといえます。

この背景には、歯科医師の過剰問題があると思われますが、実は歯学部を受験する学生の偏差値の低下と国家試験合格率の低下は一致しているとする見方もあります。正解はどちらなのでしょうか・・・。どちらにしても、卒業しても歯科医師国家試験に合格しないと、何のために歯学部に通っていたのかわからなくなります。

 

 

■まとめ

歯学部での学生生活の終盤になり、臨床実習、卒業試験と学生生活の集大成となるのが、この学年です。

卒業できないことには歯科医師国家試験を受験することすら出来ないわけですから、なんとかして卒業試験には受かりたいものです。しかし、国家試験の合格率の低下により、卒業試験も難しくなっており、卒業できない、いわゆる卒試留年が増えている現状があります。

無事、卒業試験をパスしても、次に待ち受けるのは歯科医師国家試験です。卒業できたからといってまだまだ安心は出来ません。国家試験に合格してようやく歯科医師になれるからです。

筆者の時代は、夜を日に継ぎ、ひたすら過去問を解きました。3回くらい解くと、問題を見れば答えの選択肢がわかるくらいにまでなりました(笑)。こうなると問題を解く意味ないですよね。

みなさんも、今はたいへんな時代ですが、頑張ってくださいね。

 

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