歯学部生必読!進級対策で押さえるべきポイントと勉強法
歯学部の進級対策について
皆さん、大学生活にどのようなイメージをお持ちでしょうか。
サークル、部活など楽しいことが数多くあるイメージではないかと思います。実際、高校生と比較しても自由な時間も増えてきてサークル、部活、バイトなど楽しいことも満載です。これらは、大学生活を充実させるのに大切なことだと著者も感じています。
しかし、これらに力を入れすぎるばかりに悲しくも留年してしまう方がいるのもまた事実です。今回は、歯学部に入学する方、もしくは歯学部に在学中の皆さんに、歯学部の進級について学年ごとに詳細にお話させて頂こうかと思います。
そして各学年での進級のポイントを理解し、大学生活を充実させながらもしっかりと進級していきましょう。
基礎医学の知識をしっかりと身につける
まずは、1年生です。過去のブログ「リメディアルの勧め」でも少しお話させて頂きましたが、いきなり歯科に関する授業などはありません。1年生では、基礎医学につながるための知識を得るために物理学、化学、生物学、統計学、英語、第二外国語などの教養科目といった授業を主に行います。
これらの科目では、高校で学んだ内容をベースに発展的な知識を学んでいきます。テストに関しては、授業をしっかりと聞いて、先生の傾向をつかむことが重要かと思います。この中でも、生物学は、2年生以降の授業に必要な基礎知識を学ぶための特に重要な科目です。
この時点でわからない、曖昧なところを残してしまうと、これ以降の知識の理解に支障をきたしてしまうことがあります。しっかりと予習復習を行うようにすると、きっと役に立つはずです。
また総合大学などでは、これらの科目を他の学部の先生が担当していることも多く、点数が足りないと容赦なく単位をもらえないこともあるので気を付けましょう。加えて、出席も非常に重要で、出席が足りないとそもそもテストの受験資格がないことも多いです。
大学生になると一人暮らしを始め、自由になると同時に生活のリズムが崩れてしまう人もいます。そして、学校にあまりこなくなり出席が足りなくなるといったような人もたまに見かけます。この時期に、学業とプライベートの生活のリズムをしっかりと作るようにしましょう。
歯学部での進級においていかに学習管理ができるかは大切なポイントになります。1年生の時から1日、1週間、1ヶ月毎のスケジュールを立て、その都度振り返りをしてそれぞれのスケジュールにフィードバックする習慣を身につけるましょう。
基礎医学の知識を応用する
2年生になると、解剖学、生理学、生化学、薬理学などの基礎医学と呼ばれる科目がスタートします。
ここで、本格的な医学の知識を学び始まることになります。専門的な医学の知識を学び始めて新鮮さを感じると同時に、記憶しなければならない知識量が膨大であることにも気付くことになります。
基礎医学の授業では、実験やレポート提出も多くなります。多くの大学では、解剖実習が2年生で行われますので、時間的な制約もあり、テスト前にまとめて勉強しようとすると、そもそもテスト範囲を十分に学習すること難しい場合が多いです。
また、知識が短期記憶になりやすく、後の授業の際に、内容を忘れてしまっているといった問題が生じます。普段から、短時間でもいいので勉強して、知識を整理し定着させていくようにしましょう。
テストに関しては、先輩などからもらった過去問などが非常に重要になります。過去問で問題の出題のされ方や先生の傾向などをつかみながらテスト対策を行って下さい。
科目によっては、過去問がそのまま出題されるような場合もありますので、必ずチェックしましょう。
専門科目の知識を身につける
次に、3年生についてお話します。この時期になると、基礎医学の授業が終わり、歯科矯正学、歯科補綴学、歯内療法学、口腔外科学といった専門科目とよばれる授業が始まります。
ここで、やっと歯科医師となるための専門的な知識を学んでいきます。基礎医学の知識がベースになっているとはいえ、歯科に特有の知識なども学ぶ必要があり、最初は勉強の仕方にとまどう学生も少なくありません。授業をあまり聞かずにいると、自分で学習しようにも何から学べば良いのかわからなくなることも多いです。
1、2年生の時以上に授業をしっかりと聞いて、わからないことをそのままにしないようにして下さい。テストに関しては、ここでも過去問が重要になります。
また、専門の先生は自分が専門にされているところなどをテストに出したりすることも多いので、授業を担当する先生の研究している分野などを参考にするのもいいかもしれません。
また、この学年で学ぶことは、4年生、もしくは5年生で行われるCBT(詳しくは後述します)や国家試験に最もよく出る範囲です。ここで、サボってしまうと後々大変な思いをすることになります。大変だとは思いますが、がんばって下さい。
CBT・OSCE対策を万全にする
4年生では、引き続き専門科目を学習することになります。基本的な学習の仕方は、3年生のときと同様に行っていくのがいいかと思います。
テスト対策に関しても3年生と大きく変える必要はないかと思います。2、3年生で学習した内容に関して、万一漏れがある場合は、この時期に復習して身につけるようにしましょう。
なぜなら、多くの大学では4年生の終わり(5年生の始めの大学もあります)にCBT(Computer-Based Testing)、OSCE(Objective structured clinical examination)という試験が課されているからです。
CBTというのは1~4年生で学んだ基礎医学、専門科目の知識を活かし、選択式の問題をパソコン上で解く試験になります。先ほど「サボってしまうと後々大変」「2、3年生で学習した内容に関して、万一漏れがある場合は、この時期に復習して身につけるようにしましょう」と言った意味がここでおわかりでしょうか。
CBTで問われるのは、今まで学んだこと全範囲なのです。とてつもない知識量となっているのに加えて、4年生の授業も暇なわけではありません。直前に全てをしっかりと復習するのは実質不可能に近いのです。
なので、普段からその都度学習する内容を定着させて、曖昧な箇所はなるべく早い段階で理解していくことが非常に重要になります。ではこの試験は受験すればいいだけなのでしょうか。そうではなく、この試験に受からないと、5年生から始まる臨床実習に進むことができません。合格点が決まっていて達していない場合は再試験となり、再試験に不合格になると留年になってしまいます。
そういった意味でも、大変な試験ですので、各学年で学習することは、その都度定着させることが重要となります。
さて、もう一つのOSCEというのは、臨床実習に進む前に、基本的な態度や技術を確認する試験となります。試験官の前で、模擬患者さんに医療面接を行う、基本的な手技のシミュレーションを行うといったような各学生に対して臨床実習をさせるのにふさわしいかを確認するためのものとなります。
こちらは、例年緊張して、手技の手順を間違える、とばしてしまう学生が多くいます。油断せずに練習を行うようにしましょう。
臨床実習の開始と国家試験への道
5年生、6年生では臨床実習が始まります。今まで学んできた知識や技術を確認しながら実際の臨床現場に出て歯科医療について学ぶ場となっています。各科を周ることになるのですが、それぞれの科で見なければならない症例や、実際に行う必要がある手技の症例数などが定められていることが多いです。
実際に、自分が働くときにどのように治療すればよいのかを知る重要な機会となりますので、しっかりと出席して積極的に参加するようにしましょう。
また、この時期は臨床実習と並行して国家試験の勉強を開始することが必要になります。CBTが終わり、学生さんによっては、国家試験の勉強は6年になってからでもいいと考えている方も多い印象です。
しかし、国家試験の難易度はCBTよりも高く、全範囲であることを考えると、5年生の段階からお友達と勉強会をするなどしっかりと対策をすることが重要と考えます。少しずつでもいいので国家試験の参考書や過去問題集を使って勉強を開始しましょう。
また、6年生の最後には卒業試験があります。この試験でも留年することが多いので、そういった意味でも早くから勉強を始めるに越したことはありません。
卒業試験は、国家試験とは違い、各大学の先生の色が強く出る試験ですので、過去問対策もしっかりと行うことをお勧めします。
以上が、歯学部での学習内容と、進級するためのポイントとなります。この記事を読むと、歯学部は勉強ばかりで大学生活を楽しめないのではないかと思われる方もいるかもしれません。
しかし、実際は勉強だけでなく大学生活を充実させながらしっかりと進級していく学生さんもいることも事実です。日頃から、コツコツ学習していけば皆さんなら十分可能ですのでしっかりと進級していきましょう。応援しています。
CES歯科医師国試予備校 講師
国立大学歯学部歯学科を卒業、総合病院歯科口腔外科での研修を経て大学病院口腔外科学医局に入局。大学院に進学し、基礎医学の研究室にて博士号取得。その後、総合病院歯科口腔外科などの勤務を経て、現在CES歯科医師国家試験予備校にて講師として勤務。