第120回歯科医師国家試験対策|令和9年版新ブループリントと共用試験合格の変更点【2027年】
- 第120回歯科医師国家試験は令和9年(2027年)実施予定で、令和9年版出題基準(新ブループリント)が初めて適用される回です。
- 問題数(計360問)・試験時間(各135分)・配点・合格基準の枠組みは従来から変更なし。ただし「共用試験(CBT)合格」が受験資格に追加され、情報倫理・データ保護、病院歯科の役割などの論点が強化されました。
- 直近の第119回は合格率61.9%(新卒80.2%・既卒27.8%)と難化。第120回はこの傾向を「対策の起点」と捉えるのが得策です。
- 日程・試験地は本記事執筆時点で厚生労働省の正式公示前のため、以下は例年実績にもとづく予測です。確定情報は必ず厚生労働省の一次情報でご確認ください。
歯科医師国家試験が歯科医師免許取得のために必須の試験であることは、皆さんご存知のことでしょう。第120回(令和9年/2027年実施予定)は、令和9年版出題基準が初めて適用される節目の回でもあります。試験が近づいてきましたので、今回は第120回にまつわる制度上の変更点や、直前期の注意点等についてまとめていきます。
第120回 歯科医師国試の概略
研修施設のマッチングを行った後、知識以外の歯科医師適性を公的にテストする臨床実地試験や6年次OSCEを経て、歯学部歯学科を卒業して初めて受験資格を得ることができるようになります。試験日は1月末週〜2月初週の土日2日間になることが多く、医療系国家試験の初陣を飾ります。
令和9年(令和8年度)実施予定の第120回歯科医師国家試験から、日本の歯科大学・歯学部卒業者は「共用試験(CBT)に合格していること」が受験資格に加わります。これはシームレスな歯科医師養成に向けた共用試験の公的化を踏まえた制度改正です。詳細は厚生労働省「歯科医師国家試験の施行について」および医道審議会歯科医師分科会報告書をご確認ください。
出題形式は5択から択1〜Xを行う選択問題です。出題内容には医学や歯学に関する知識問題や、実臨床を想定した診断・材料選択などがあります。
なお出題形式については、受験生への心理的負担が強いとされたXXタイプ(すべて選べ)問題が第119回から廃止され、第120回でもこの扱いが継続されます。一方、必修問題のX2タイプ(2つ選べ)は継続されます。厚生労働省の出題基準関連資料もあわせてご確認ください。
知識問題について、薬理の範囲は薬剤師国家試験や医師国家試験の過去問を参照していることがあったり、歯学部ではあまり教えられていないが医学部では常識のように扱われている知識が出題されることがあったりと、歯学から少し離れた医療知識もしっかり出題されるため、大学の講義を受ける際や試験対策時に「歯学と離れているから」と蔑ろにしないようにしましょう。
出題意図としてはおそらく、医療技術の発展やケア形態の変化から今後は分業を主としたチーム医療の重要性がどんどん高まっていくが、多職種の基礎的知識について理解できないと会話が成立せず話にならなくなってしまうから勉強してほしい、ということでしょう。令和9年版出題基準では、この方向性に加えて「情報倫理・データ保護(マイナ保険証やオンライン資格確認、診療録の電子化等)」「病院歯科の役割」といった論点が新たに強化されています。王道分野の学習が軸である点は変わりませんが、新たに強調された論点を上乗せする姿勢で臨みましょう。
臨床問題について、プロトコルに従えば解けるような問題よりも、大学での実習で行った内容などが多く出題されるようになってきている(もちろん教科書的な問題の方が多数派ですが)印象があります。嘔吐反射の強い患者さんの印象採得を行う際の対応や歯周病の診断基準、縫合糸の選択基準など、実習を通してしっかり学べていますでしょうか。
評価方法は必修問題・領域A(総論)・領域B(各論)の3区分に分けて評価され、そのすべてで合格基準を満たして初めて国家試験合格となります。問題はA〜Dの4パート(計360問)あり、半日で1パート(90問)行われます。試験時間は午前・午後それぞれ135分(2時間15分)です。
問題の構成は大きく変わらず、必修問題は各パートの頭20問、計80問あります。必修問題の合格ラインは80%以上の正答率であり、唯一絶対評価が行われる項目です。問題数の内訳(必修問題80題・一般問題(総論)100題・一般問題(各論)80題・臨床実地問題100題=計360題)と配点(一般1問1点、臨床実地1問3点)は第120回でも変更ありません。
必修問題は各分野の基礎知識問題から構成されることが多く、各分野を対策すれば自ずとできるようになると誤解されがちですが、分野対策時には使用頻度の低い知識を問われることが多く、対策なしでは時間をとられる元となるため、必修対策は必ず行いましょう。
必修問題以外の問題には一般問題と臨床問題が存在し、臨床問題は1問3点の配点となっています。領域A(総論)と領域B(各論)は上記2種類の問題が振り分けられており、相対評価がとられています。
模試を受けて自己採点をする際は、臨床問題・一般問題と分けた集計もしてみましょう。成績表返却時は領域Aと領域Bの正答率を確認し、弱かった具体的な分野を確認する必要がありますが、自己採点時に領域Aと領域Bを振り分けることは時間の無駄なのでやめてください。成績表の見方については別記事で解説を行っておりますので、ご参照ください。
成績表の正答率が著しく低かった問題などについては、合格者数調整のために採点除外問題となり採点から除外されることがありますが、実際は自信をもって回答できない問題でも雰囲気で選べるようになっている作問も多く、正答率が上振れすることがあるため、採点除外問題には期待しないようにしましょう。参考までに、直近の第119回では採点除外等の取扱いをした問題は22問でした(厚生労働省「第119回歯科医師国家試験の合格発表について」)。
国家試験に惜しくも合格できなかった場合は再マッチングを行うことになりますが、CBTの際とは異なり、臨床実地試験や6年生OSCEを再受験する必要はありません。
受験者数2,837人/合格者1,757人/全体合格率61.9%。新卒80.2%に対し既卒は27.8%と、22年ぶりに30%を下回りました。前回第118回(全体70.3%)から大きく低下しており、タクソノミーの高い(=臨床の文脈で考えさせる)出題への対応力が、これまで以上に問われた回といえます。
4〜2週間前にすること
試験会場が発表され次第、試験会場の確認およびホテルの予約、試験のスケジュール確認など、こまごまとした事項を終わらせましょう。1か月前は直前ではありませんが記憶定着の追い上げ期であり、体調管理が響く時期になりますので、ここから本番まで生活習慣をしっかり整えるようにしましょう。
勉強に関して、過去問集の解題や模試のやり直しの際に間違いノートは作成していると思いますが、間違いノートの内容は頭に入れなければ意味がありませんので、暗記の作業を行っていない方は行ってください。他には、今まで行ってきたこと(過去問集の周回など)がしっかり終わるように尽力しましょう。
また、これはスマホに耐性がある方のみにお勧めするのですが、Xアカウントなどでは予想問題の作成や重要ポイントまとめノートの無料配布が行われていることが多くあり、昔に勉強したけど忘れてしまった知識や、世間的(つまり大多数の人)に重要だと思われている知識(つまり試験でみんなが点を取れてしまう分野)の復習を手軽に行うことができるため、トイレ中や寝る前のちょっとした時間、食事後にひと息ついている時間などに検索してみましょう。人によって利点となるか欠点となるかは分かれますが、国試後にはみんなの出来栄えもふんわりと情報が流れてくるようになります。
1週間前にすること
この期間は本番に向けて解題ペースなど手を慣らす期間、全体の総復習を行う期間になります。本番は緊張してついゆっくり問題を読んでしまいがちになるため、速い解題ペースで調整されるよう、1〜3年前分の過去問を頭からタイムアタック式で解きましょう。試験時間は各135分=必修・一般問題は1問あたり約1分、臨床実地問題は1問あたり約2分半が一つの目安です。マークミスなどの見直し時間も確保できるよう、少し早めのペースを意識しましょう。
過去問セットの解題は本番通りのスケジュールで行ってもいいですが、解ける問題数を増やすことも大切ですので、朝9時から問題を解き始めるとして昼前にA終了、昼食後に解き始めて15時頃にB終了、夕飯前にC終了、夕食後に解き始めて22時頃にD終了、というスケジュールを頑張れる方には推奨します。予定に余裕が生まれた際は、実践やAnswerで間違えた問題を(既に何周も周回していることとは思いますが)ざっと一目みて復習しましょう。
前日に注意すること
翌日および2日目の動きを確認し、睡眠時間は確保するようにしましょう。試験は朝始まりですが、体の覚醒や朝食のグルコースが頭にいきわたるには時間が必要になりますので、できるだけ早起きをすることが推奨されます。
とはいえ、記憶の定着は睡眠時に行われるため、就寝前の勉強も大切です。当日の準備が終わった後は、間違いノート一周、テキスト類一周、過去問集の間違い問題一周を行いましょう。早起きをした分おなかの減りも早くなるため、水と手の汚れないお菓子などは忘れないようにしましょう。鉛筆と消しゴムは多めに準備し、鉛筆がやや尖った状態であることを確認しましょう。
国試当日の心構え
できるだけ早起きをしてごはんを食べ、朝日を浴びましょう。交通機関の遅延等も考えられますので、会場には早めに入るようにしましょう。
会場には様々な予備校の講師が激励に集まっており、ヤマ張りも行われているため少し耳をそば立てながら通過しましょう。個人単位での勉強については当日にもなればほとんど大きな変化はないため、気休めとは思いつつも、間違いノート(暗記用ノート)など用意したものを休み時間等に読みましょう。
試験前は教室に緊張感が走り、あまり話せる雰囲気ではありませんが、試験直後は案外解放感から賑やかになっており、ここでも友人と情報交換が可能です。机はとても狭くなっていることが多いです。隣と距離を保たなければならないということもあり、図表と問題用紙は基本的に重ねて置くことになってしまいますので、心の準備をしましょう。
以上、第120回歯科医師国家試験についてでした。制度変更に過度に身構える必要はありません。王道分野をしっかり固めたうえで、新たに強調された論点を上乗せする——この姿勢で、自分を信じて頑張りましょう!
第120回(令和9年/2027年実施予定)の試験期日・試験地は、本記事執筆時点で厚生労働省による正式公示前です。歯科医師国家試験は例年1月下旬〜2月上旬の土日に実施され、施行内容は例年7月1日頃に官報告示されます。本記事の日程・会場に関する記述は例年実績にもとづく予測であり、確定情報ではありません。出願・受験の際は必ず厚生労働省「歯科医師国家試験の施行について」の最新の一次情報をご確認ください。
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岩崎 陽一(いわさき よういち)
株式会社アクト 代表取締役
CES医師・歯科医師・薬剤師国試予備校をはじめ、医療系国家試験対策の複数ブランドを統括。教育指導歴30年以上の経験をもとに、歯科医師国家試験の制度改正・出題傾向の分析から、学習計画・メンタル面まで一貫した合格戦略を発信しています。本記事は厚生労働省の公表資料等の一次情報にもとづき作成しています。




